砥部焼について

砥部焼の材質

 砥部焼の材質は元々は「砥石」です。この砥石を陶石として利用し、更に1250度の高温で焼くことによって冷たい白地ではなく、なんとなく温かい白地を作り出しているのです。また、他の食器よりも丈夫で衝撃にも強い器となっていることも、実はこの材質が関係しているのです。

砥部焼の模様

 砥部焼の模様は温かみのある白地に藍色で素朴な柄が描かれている物が最も一般的です。この藍色は「泥呉須(どろごす)」と呼ばれる塗料で、通常の呉須に焼いた泥を混ぜることにより、派手さを消しています。先人達の知恵により工夫に工夫を重ねられたこの「泥後須」によって砥部焼は毎日見てもなぜか飽きない、むしろ味わい深さを増す色になっているのです。これも砥部焼の大きな魅力の一つです。

砥部焼の歴史

 砥部焼は、その名が示す通り愛媛県「砥部町」の伝統工芸士の手によって造られております。砥部町の焼物の歴史は古く、それは6−7世紀頃の窯跡がいくつも発見されていることからも既に証明済みです。また奈良時代の「正倉院文書」には、砥部町の砥石である「伊予砥」を税として納めたと記されており、当時より価値のあるものだったことが感じ取れます。

私から見た砥部焼の魅力

 砥部焼はすべて手描きの焼物です。私はそこに最大の魅力を感じています。また磁器であるにもかかわらずやや厚手で、そしてぽってりとしていますので、お茶やコーヒーを飲む時の口当たりがとても心地良く、なんとも言えない暖かみ、優しさを覚えます。

 そして砥部焼は、白磁に藍色の模様が一般的ですが、赤や黄・緑色もちらりと入りました器もございます。特に、落ち着いた赤の色も、とても魅力あるところです。

 最後に、砥部焼は和食器でありながら、和・洋・中華どれを盛り付けても料理を一段と映えさせてくれる器だなぁと常々実感しながら、毎日食卓を囲んでおります。

砥部焼 今日花(きょうか)